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有料老人ホームの基礎知識

有料老人ホームという商品とは

有料老人ホームは、介護が必要になっても 自分らしい生活を楽しむための「生活サポートシステム」

有料老人ホームは、終身利用権・賃貸等で部屋を入居者に提供するという住宅サービスと、食事・介護、各種相談等の高齢者の暮らしをサポートするためのサービスを組み合わせた複合サービスです。介護保険制度ができる2000年までは、健康な高齢者を対象とした『悠々自適』の生活を満喫するための有料老人ホームが多かったのですが、介護保険制度の施行後は、介護サービスを中心とした要介護高齢者を対象としたホームが、増加しています。 そのため、これまでは住宅サービス部分として、1LDKや2LDKなど一人当たりの居室面積も広く、入居一時金が、数千万円以上という非常に高額のものが多かったのですが、最近の要介護高齢者を対象にした有料老人ホームはワンルームタイプのものが多く、入居一時金も数百万円と低額なものが増えています。

有料老人ホームと介護サービス

有料老人ホームは、介護サポートの方法によって 大きく3種類に分けられている
高齢者は加齢により身体状況が悪化し、生活を行う上で介護・介助が必要となる可能性が高くなりますから、安定した介護サービスを受けられることが、これから有料老人ホームに入居される高齢者や家族にとっての最も大きなニーズの一つです。 すべての有料老人ホームは介護サービスの提供体制によって、以下の4タイプのいずれかに分類されています。これを有料老人ホームの類型と言います。

類   型 介 護 サ ー ビ ス の 提 供 体 制
健康型有料老人ホーム 介護が必要となった場合、契約を解除して退居
住宅型有料老人ホーム 介護が必要となった場合は、訪問介護等外部のサービスを利用
介護付有料老人ホーム
(一般型特定施設入居者生活介護)
特定施設入所者生活介護の指定を受け、介護サービスを提供(介護サービスは有料老人ホームのスタッフが提供)
介護付有料老人ホーム
(外部サービス利用型
特定施設入居者生活介護)
外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定を受け、介護サービスを提供(有料老人ホームのスタッフが安否確認等を行い、介護サービスは委託先の介護サービス事業書が提供)

健康型の有料老人ホームは、自立した高齢者のみを対象にしたもので、食事等の日常生活サービスは提供されますが、要介護状態になった場合は、契約を解除して退居することが求められます。ですから、入居される方に介護が必要で、介護を受けることを目的として有料老人ホームを探す場合は、その類型として介護付有料老人ホーム(一般型・外部サービス利用型)、もしくは住宅型有料老人ホームのどちらかを選択することになります。 一般型介護付有料老人ホームは、介護保険法上の特定施設入所者生活介護の指定を受け、介護サービスを提供するというもので、有料老人ホームで介護・看護スタッフを雇用して、介護サービスを提供します。

これに対し、特定施設入所者生活介護の指定を受けず、要介護の入居者は外部から訪問介護等の在宅サービスを受けるというものが住宅型有料老人ホームです。食事サービス等のサービスは老人ホームから受けますが、介護サービスは有料老人ホームのスタッフではなく外部の訪問介護や通所介護サービス事業所から受けるというものであり、介護保険制度の利用方法は自宅で暮らしているのと同じ扱いになります。
もう一点、この平成18年4月の報酬改定で、新しく創設されるのが、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定を受け外部サービス利用型介護付有料老人ホームです。これは、介護サービス計画の策定や安否確認等の基本サービスは、ホームのスタッフが行い、日常の食事介助・入浴介助等については、ホームが訪問介護、訪問看護、通所介護等の外部サービス事業所と契約を行い、入居者はホームが契約した事業所から介護サービスを受けるというものです。 訪問介護等の外部サービスを利用するという点では、住宅型有料老人ホームと同じ扱いですが、入居者が個別に外部サービス事業所と契約するのではなく、有料老人ホームが外部サービス事業所と契約し、入居者はその契約(指定)されたサービスを受けるという点が大きく違います。まだ、数は多くありませんが、今後、増えると予想されています。

 有料老人ホームの類型を比較すると、特別養護老人ホームと同じように、一般型介護付有料老人ホームは、老人ホーム内に介護スタッフが24時間常駐してい ますので緊急時にも安心であることから、要介護の入居希望者や家族には人気が高く、既存の有料老人ホームでも新しく一般型特定施設入所者生活介護の指定を 受け、変更するホームも多いようです。
しかし、この有料老人ホームはその類型によって、それぞれにメリット・デメリットを持っていますし、地域環境や周囲の状況にも左右されます。また、同じ介 護付有料老人ホームでも、手厚い介護サービスを提供するために、介護・看護スタッフを基準より多く採用している有料老人ホームもありますので、類型が同じ であれば、同じ介護サービス提供しているということではありません。
有料老人ホームの商品性はまだまだ固まっているわけではありませんから、介護サービスをどのように受けるのかという違いをはっきり認識して、入居者や家族の状態や希望に合った介護を受けられる有料老人ホームを探すことが大切です。

特別養護老人ホームとの違い

特別養護老人ホームは、全国一律のサービスを行う福祉施設 有料老人ホームは、入居者の多様化するニーズに合わせて進化する 有料老人ホームと特別養護老人ホームは、どちらも老人ホームという名前がついていますし、有料老人ホームでも要介護高齢者を対象のものが主流になってきています。ですから、『特別養護老人ホームと有料老人ホームの違いがわからない』と言う人は非常に多く、わかっていると言う人も、『有料老人ホームは特別養護老人ホームの民間版』『特別養護老人ホームのグレードを高くしたものが有料老人ホーム』という程度ではないでしょうか。制度的に主な違いを挙げると、次のようになります。

まず特別養護老人ホームですが、これは社会福祉法人という公益法人や市町村等の公的機関にのみ許された公益事業で、その建設・運営には多額の補助金が支給されています。ですから、行政の指導のままに建設しサービス提供することが原則です。制度上は、建設設備内容や、各サービス内容については最低基準ですから、これを満たしていれば、食事内容をグレードアップしたり、基準を上回るスタッフを配置したりすることは制度上可能です。しかし、それらに基いて入居者に負担を求めることはでませんから、実際にはどの特別養護老人ホームも、4人部屋でほぼ横並びのサービスが提供されるということになります。

もう一つ、この特別養護老人ホームは、要介護高齢者の生活に必要な基本的なサービスがまとめられたパッケージ商品だということです。要介護高齢者の生活を維持するのに必要な住宅や食事・介護・医療等がすべてまとめられた商品で、一部の趣味やサークルなどの部分だけが選択サービスということが、その特徴です。個室を中心とした新型特別養護老人ホームが建設されていますが、これもサービス内容は一律です。つまり、特別養護老人ホームは、要介護高齢者の最低限の生活を維持するだけのサービスがまとめられた福祉施設なので、老人ホームごとに、そのサービス内容を変えられない、また、公平性の観点から変えてはいけないという商品なのです。

一方、有料老人ホームは、建物のグレード、食事サービス、介護サービス、医療サービスなど、ハード・ソフトの両面で多くの部分が自由に計画することができるのがその特徴です。有料老人ホームとして、行政に届け出を行いも入居者が安心して生活できるように最低限の基準を守ることは必要ですが、事業者の判断で、地域のニーズやこれからの高齢者のニーズに合わせて、居室を広くしたり、食事の質を上げたり選択の幅を増やしたりと、様々なプランを策定することができますし、同じ有料老人ホーム内でも『居室の広さや日当たりによって価格が違う』ということは可能です。

また、これは介護・看護サービスも同様で、例えば特定施設入所者生活介護の指定を受けて介護付有料老人ホームとなっても、指定基準の最低限のスタッフ数は確保する必要がありますが、手厚い介護サービスを提供するためにそれ以上の配置をした場合は、上乗せの介護費用として入居者にその費用を求めることができます。

つまり、同じ要介護高齢者を対象にした老人ホームでも、特別養護老人ホームは、要介護高齢者か生活するための必要最低限の機能を集約させた既製商品・バッケージ商品で、有料老人ホームは、特別養護老人ホームのサービスでは満足できない人や、多様化するニーズを持つ高齢者に対して、それ以上の機能や嗜好を提供するといったオートクチュール、自由設計商品だといえます。

ですから、『有料老人ホームは高額商品だ』と思われている人も多いのですが、特別養護老人ホームと同程度のサービスを提供している低価格のものもありますし、逆に多くの介護スタッフを整え、部屋も広く、医師も常駐するといった手厚い介護・医療システムを整えたもの、その他、ペットや家族とも同居できるといったこれまでの老人ホームの概念とは大きく外れているようなものもあります。有料老人ホームは、これからの高齢者のニーズの多様化によって、ますます進化していくのです。

田中工務店